気になる講演

気になる講演

本来ならば、自分でデータを集めて情報分析を行うのが筋ですが、この時ばかりはエコノミストやストラテジストと呼ばれる専門家の話を参考にしてしまいます。
なかなか理想のようにはいきません。 ただし、こうした専門家のなかにも「海千山千」の人がいます。
売名行為としか見えないような、突拍子もない予想を立てて世間を驚かしているような人もいます。 やはり彼らも生き残るために必死なのでしょうか。
さて、市場にはいろいろなシナリオがひしめいています。 そして、必ず買い材料と売り材料があります。
二○○三年に勃発したイラク戦争前の、ドル円相場の材料をまとめたものです。 どの材料を見てもそれなりに説得力があります。
この材料のどれかを選ぶことで、ドル買いでもドル売りでも仕掛けることができます。 しかし、相場は円高か円安がどちらか一方にしか動かないわけですから、この中から何らかの材料を選び出してくるわけです。
誰がどのように選択するのでしょうか。 ここに市場の意図というか、参加者の企みが隠されています。

トレーダーは、もちろん他の参加者が納得するような材料を選ぶ。 Repatriationとは、自国の投資家が、投資先の政治や経済情勢の変化などにより投資資金を自国に送り戻す動きのこと。
自らに都合のよいシナリオをつくるに違いありません。 ここが相場を読むうえで重要なポイントです。
つまり、相場はある確かな意図をもって動かしてみようとする人たちが、シナリオをつくっていると考えるべきなのです。 もうひとつ留意することは、同じ材料から売りシナリオも、買いシナリオもつくることができることです。
日本における景況感の悪化を例にとり、シナリオをつくってみました。 「風が吹けば桶屋が儲かる」的な展開ですが、このようにひとつの材料から円高シナリオも円安シナリオも、両方ともつくれます。
市場とは何とも恐ろしい所です。 以上をまとめてみると、こうなります。

シナリオはいかようにもつくることができて、したがって市場があるひとつのシナリオを注目しているとしたら、そのシナリオには誰か必ずつくった人間がいて、そしてそれは、つくった参加者の狙いを反映している、つまり、それは、トレーダーがシナリオの方向にポジションを保有していることにほかならない。 いやはや、何とも下手な文章になりましたが、言いたいことはズバリ、「シナリオメーカーの意図を見抜け」ということです。
相場とは離れ、政治の話をします。 アメリカ政府は、二○○三年に行ったイラク攻撃を正当化するために、その前後にいろいろな主張を繰り返してきました。
最初の大義名分は、アルカイダをかくまっている、ということでした。 次にテロを支援する「ならず者国家」と呼び捨てました。
そして次には、大量破壊兵器を保有している、と決めつけました。 最後はフセイン大統領の恐怖政治、と次々と攻撃の理由を変えてきています。
これらの主張にいちいち首をたてに振っている人はいないでしょう。 アメリカの意思は、はっきりしています。
相場も同じです。 もっていきたい方向が決まっていて、後はシナリオメークするだけです。
シナリオメーカーの意図に翻弄されないためには、まず市場が注目する材料を疑ってみることです。 あるいは経済指標などの数値で、確認をしてみることです。
それをして不自然だと感じたならば、その相場は相当無理をしていることになります。 トレーデイングの教えにこんな言葉があります.罪常識は長くは続かない」肝に銘じておきたい格言です。
その昔、両想いだと思っていたのに、実は片想いであることがわかって、たいへん悲しい思いをした……こんな経験はないでしょうか。 大人になってから思えば、はかない思い出と笑って過ごすことができます。
しかし、いまでも誤解したままの状態が長く続いているものがあります。 それが市場価格の決定理論です。

価格が市場でどのように決まるかについて、需要と供給が交わったところで決定されるとする考え方があります。 市場価格の一点では、需要側も供給側もお互いに満足して、あるいは妥協して商品の交換を行うわけです。
この考え方を、取引市場における価格に当てはめると、需要側である買い手も、供給側である売り手も、お互いに納得して市場価格にて交換を行うことになります。 本当でしょうか?この点について、市場取引を経験したことのある人間と、その正反対にいる理論派の人たちの間では、大きな感覚の差があると私は思っています。
理論派の人たちは、市場で成立する価格は、それが正当な対価であるものとして取り扱います。 しかし、一度でも市場取引を経験すればすぐにわかると思いますが、買い手が市場価格で買おうと思うのは、その価格が正当な対価と思ったからではなく、将来価格が上昇すると思うから買うのです。
つまり、いまの価格は割安であると考えているのです。 同じように売り手は、市場価格が割高で、将来下落すると考えて取引を行っているのです。
買い手と売り手とは、全く正反対な思いをもって交換を行っているのです。 決して相思相愛の関係ではありません。
この買い手と売り手のギャップがなければ、市場取引は成立しません。 まさに同床異夢なのです。
あるいは、同場異夢と表現したほうが、わかりやすいかもしれません。 市場トレンドとは、価格がある一定方向に動く相場動向のことを言います。

チャートを見ると市場にはよくトレンドが見られます。 このトレンドに従って取引を行う方法を、トレンドフォローと言います。
このトレンドフォローは、統計的なバイアスを利用した方法ができる人たちです。 要するに、市場価格というものは、トレーダーの片想いによって常に変動し続けるわけです。
しかも、市場価格について割安・割高であると考えるのは、トレーダーたちの勝手な思い込みであることがほとんどです。 したがって、市場価格は非常に不安的なものになります。
なぜならば、もし割安だと思って買ってもその後に相場が下落してしまえば、トレーダーはすぐに考え方を変えて損切りしてしまうからです。 特に切れ者のトレーダーは、気紛れで、すぐに前言を撤回する。
あるにもかかわらず、なかなかうまく利用されていません。 それは大多数の人がトレンドを信用しないからです。
しかし、もし相場変動が独立して発生するのであれば、トレンドは発生しません。 たとえばサイコロを振って出た目の推移を並べても、でたらめの数字が並んでいるだけです。
そうならないということは、そこには何らかの力が働いているに違いありません。 そして、そうした力は一旦発生すると、継続性があるということです。
この点に気づくべきではないでしょうか。 実例をひとつお見せします。
「おいおい、まてまて、なに言っているのだ!過去から相場を語ることなんて、誰でもできるぞ。 どこかの部長みたいに、結果を見てからエラそうなことを言うな!」と怒られそうな気がします。

もちろん私も、そんなことは、答えを知って大学試験に臨むが如きのこと、と心得ています。 しかし、それでもここはひとつ、商売上手の営業マンに編されたと思って聞いてください。
これはユーロドルの一九九九年からの相場推移です。

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ご存知の通り講演からはシャープな印象を受けました。講演と健康について説明致します。